ペン字·書道の教育における標準文字列お手本の自動生成法についての一検討

摘要

著者らはペン字·書道を事例として，インターネット及びマルチメディアを用いた遠隔教育システムの研究を行っている．本研究は，師範と弟子が遠隔地にいながらもインターネットを用いリアルタイムで添削指導ができる「実時間遠隔指導システム」と，師範から直接指導を受ける前段階において弟子の自学自習を支援する「自学自習支援システム」の2つの研究で構成される．弟子が文章を書く稽古をひとりで行いたい場合，書道においては文章ごとに全体の美しさのバランスを考慮したり，文字の形や文字同士の繋り方を変えたりする必要があるため，文章ごとにお手本が必要になる．このお手本をコンピュータにより自動生成できれば，ある程度のレベルまで手軽に弟子が自学自習を行うことができる．本稿では，これまで研究してきたペン字·書道の遠隔教育の形態について紹介する．次に，自学自習支援システムを構築するための検討を行う．そして，標準的なお手本の自動生成を行うために，能書家によって書かれた美しい文章から文字の繋がりに関する知識情報を取得し，これを基に全体としてバランスの取れた美しいお手本を自動生成する方法を提案する．また，提案手法に基づくシステムを実装し，得られた結果及び考察を報告する．