トラブル解決のための数学第332回＝AHPの応用⑦（集計AHP）

摘要

本稿では集計AHPの例として行政マネジメントの最初の例（1994）として栃木県の総合計画（県行政全般に渡る五ヵ年の基本計画）の策定作業の一環として実施した県民意識調査における，県の将来像の選択に関する分析の結果を紹介する．この県民意識調査は1604名の学識経験者，各種団体役員，企業経営者などを対象として，将来の本県のあるべき姿（将来像）に関する意向を把握するために実施した．ところで，栃木県の将来像分析の基本的な考え方は，以下のように示される．栃木県の将来像は，文化の振興，自然環境の保全，個人生活の向上，地域の発展など，関連しながらも相反すると思われる側面をもった基本的な要素によって生活がベースとなり，いくつかの基本的な生活の状況を生み出すための条件として将来像が選択されると考えることができる．