〔特集〕まさに樹形百態、柏類の王が魅せる真柏スペシャル樹形タイプ別概説、山木素材を作るプロの技、土地土地に作風あり

摘要

真柏の場合、模様木の樹形は本筋ではない。真柏の模様木は画一的でなく変化に富hでいるのが特徴だ。黒松の盆栽のように堂々とした模様木の正統的な樹形が決まつていないのである。盆栽の様木の正統の樹形というのは、例えば幹の曲線は能舞台の松の樹の絵ように重厚で左右に均等な根張りがあり、足元から幹が左右に振りがあり、コケ順があつて、頭部に芯まで通じている幹筋がある。枝の構成も決まっている。樹形の流れを印象ずける差し枝があり、二の枝、裏枝と続き…というような、樹形である。鑑賞における「真」の格式があり、居住まいを正すような伝統美だ。真柏の盆栽の樹形においては、大正から昭和初期に新潟県糸魚川の崖から山木が大量に発見され、その大蛇がのたうつような奔放な姿が基本になつている。