建築基準法改正に伴う住宅建築の動向

摘要

建築基準法の冒頭には，その目的として，「この法律は,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めて，国民の生命,健康及び財産の保護を図り，もって公共の福祉の増進に資する」との記載がある。 今回の建築基準法の改正は，この目的のうちの「国民の健康の保護」を担保しようとする画期的なもので，その効果が大きく期待されている。改正の条文（法28条の2）には，「居室を有する建築物は，その居室内において政令で定める化学物質の発散による衛生上の支障がないよう，建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合するものとしなければならない」とあり，このわずか3行余りの法文の重みとそれが及ぼす影響の大きさは，今後の住まいの在り方を変革させる端緒となるであろう（写真－1,2参照）。 本稿では，建築基準法改正に伴う影響について,特に住宅建築の現状と将来動向を主に，材料側の観点から記述する。 なお，政令で定める技術的基準の詳細は，建築基準法関連法令集や対策マニュアル等に記載されているので,それらを参照願いたい。