米国(シアトル)における生コン事情

摘要

日米の生コン事業の比較において、生コン製造面では日本が工場設備（湿式、骨材サイロ、環境·品質対策）に費用をかけ、品質重視の生産体制にあるのに対し、米国は稔じて工場設備は簡素化し生産効率重視の体制にある。 これには、土地が狭く、品質要求水準の厳しい日本の事情と合理性、経済性を重hじる米国の事情が背景にあるものと思われる。 但し、シアトルの大手生コン各社は生産効率重視の体制ながら、骨材事情（品質、安定供給）に恵まれている事から、高強度コンクリートの供給も含め、高品質の生コンを供給する事が可能となっている。 また、1980年代後半の生コン業界の再編を経て、シアトルの生コン業界は自由競争化において適正利潤を追求できる体制となっている。 最後に、生コン事業は地域に密着した事業ながら、世界のあらゆる地域で建設分野への基礎資材の供給という共通の使命を負っている。 これまで、その強い地域性から国際間の情報交流、人事交流はなされてこなかった。太平洋セメントグループは太平洋沿岸地域（Pan Pacific Area）でいくつかの生コン事業を展開している。 手始めに、太平洋セメントグループ内の米国と日本の生コン子会社間で4年ほど前から交流を開始した。 この生コン業界の国際的な交流を通じ、安全面、生コン奉遷行効率面で具体的な成果が現れつつある。 これまでは経営幹部の交流に留まっているが、今後は交流の範囲を広げていき、更なる国際的な生コン事業の改善、発展を図っていきたい。