補修技術に携わって

摘要

社会人になつて28年経っ。学生時代，耐火物にっい ては殆ど知識が無かったが，素材·化学系の分野に興 味があったことから，会社紹介に来られた先輩の，様々 な素材を組み合わせて新しいものを創る仕事ができる との言葉に惹かれて人社を決めた。当時，耐火物の不 定形化比率は50%を超えて更に拡大していた。特にキ ャスタブルと吹付け材の生産量が増加しており，人社 後の長い間，不定形の補修村を担当していた。一口に 補修といっても，様々な工法がある。吹付け，焼付け， パッチング，鏝塗り，圧入，溶射等。用いられる材料 も施工法がそのまま材料名となったものが多く ，不定 形耐火物の特徴である，任意の部位に迅速に耐火ライ ニングを形成できるとの強みを存分に発揮できる技術 である。材質，添加するバインダー頮も多稀多様であ る。施工温度も冷間から1000°Cを超える熱間までと幅 広い。，専用の施工機器が必要な工法もあり，技術担当 者として数多くの窯炉，施工法，材料，機器に触れる 機会をいただいた。また，補修用途だからかもしれな いが，お客様から短い期間に数多くの実機テストの機 会をいただいた。目標，課題に対し，思い切って仮説 を立てて実行し，検証できる。PDCAサイクルを早く 回せる。一方で，お客様でのテスト結果が早く出るた め，上手く行かなかった場合，欠継ぎ早に次の改良材 を提案する必要がでてくる。開発品の実機評価時，受 験の合格発表を待つ時に似た，祈るような気持ちで立 ち会ったことがあった。弾が当たる，当たらないとの 言葉をよく聞いた。開発段階での計画(Plan)に不備 があると，実機での結果（Do)が，上手く行かず，そ の時点で改めて問題点を検証（Check)し，改善（Act) する。計画の段階で躓くと,PDCAは改善ではなぐ 課題の火消しサイクルになってしまう。真の課題を見 極める。幸運を期待してはならない。今でも大いに反省する場面がある。