固体高分子形燃料電池開発の現状と非白金系カソード触媒への挑戦

摘要

燃料電池は原理的には従来の発電システムより優れたシステムである。 しかしながら，その優れた特性を生かし切るには技術は未成熟である。 燃料電池の特性を生かすには，その構成要素であるアノード，カソード，電解質艶セパレータ（集電体）の機能向上は欠かすことが出来ない。 筆者らは，それらの中でも，酸素還元触媒に注目して研究を進めてきた。 酸素還元触媒として，白金を始めとする貴金属触媒は数多く研究されているが，非白金触媒の検討はまだまだ数少ない。 特に筆者らが開発した，4及び5族酸化物を中心とする化合物の研究は始まったばかりである。 実際のところ，4及び5族酸化物を中心とした化合物が，室温付近で酸素還元触媒能を持つなど誰も予想していなかったであろう。 従来と全く異なる新たな物質からのアプローチは，新たな知見をもたらす。 その新たな知見を活かして，酸素還元触媒研究のブレークスルーを作り，PEFCの本格普及に供したいと考えている。