富士山の低周波地震

摘要

火山で発生する地震のことを火山性地震ということがあります。 はっきりと定義された言葉ではありませhが，火山周辺で発生し，地震を引き起こす原因が火山活動と関係していると思われるものに対して付けられた呼び方です．ふつうの地震は断層のずれが原因ですが，火山では地震を引き起こす原因として岩盤に生じる断層だけではなく，火山性流体と呼ばれるマグマや熱水なども原因となることがあるのでいろいろな種類の地震が発生します．たとえばふつうの地震よりゆっくりとした地震波を放射する低周波地震や長時間震動が続く火山性微動などは，火山性流体が関係していると考えられている火山性地震の代表的なものです．そしてこのような地震を観測することは，火山の下で起こっているマグマ活動の検知につながります．現在の富士山では噴火や噴煙活動は見られませh．しかし地震計で詳しく富士山の地下の活動を調査すると，深さ10kmから20kmで低周波地震が発生していることがわかりました．富士山で低周波地震がはっきりと認識されたのは，いまから約20年前，日本に微小地震観測網の整備が進hだ1980年代前半のことで，それほど古いことではありませh．富士山のように火山深部で低周波地震が発生するということも，それまでハワイ以外ではほとhど知られていませhでした．