「フラクチャー」と「フラクタル」の関係?-1次元競争成長モデル数値シミュレーションによる検討

摘要

プラクチャーとフラクタルの語源は，各々ラテン語のfractura，fractusといわれており，fract-は破壊·分割を意味する。プラクチャーに係わる断層（fault），亀裂（crack）などの構造地質学的な用語には，そのようなニュアンスが強けしかし，節理（joint）は，規則性（英語では連結性）を意味しており興味深い。 これは古くから，「節理系はフラクタル性を示さない場合が多い」と認識されてきたことを意味するのであろう。 すなわち，節理は系として均一規模（柱長·多角形辺長）化，あるいは特定方向に配列化（第1図参照）する場合が多い。玄武岩に発達する柱状節理系（地表近傍の静的環境でマグマの冷却収縮-引張応力場によって生成）の「規則性」の美しさは，世界の各地で知られている。 節理系が示す規則性については，初期条件の設定やプラクチャーとその周辺との相互作用の処理などによって，本説の数理モデルー数値シミュレーション手法でも取り扱いが可能と思われるが，今後の検討課題としたい。 なお本説では，「競争定数（FF）」の物理的な意味については，「岩石の脆性破壊強度に関連（一つの解釈として，値が大きいほどランダムな初期欠陥-微小亀裂の分布密度が低く，フラクチャーの発生箇所が限定化）」として議論を留めた。 また，配列要素数については基本的にN0：10,000に固定し, パラメータとして十分には検討しなかった。 これらについても今後の検討課題としたい。