画像運動検出への二つのアプローチ：時間荷重積分法と空間荷重積分法

摘要

像上の明暗の運動（オプティカルフロー）は画像処理の基本問題として幅広い応用をもつ。オプティカルフローは空間と時間の偏微分方程式で表され，その係数推定が画像運動検出となる。この問題に対し荷重積分法は有効で直接的な解決を与える。その本質は微分の荷重積分への変換と代数方程式化にあり，このためオプティカルフローへの適用には二つのアプローチがある。一つは時間荷重積分法で，時間微分を短時間の時間荷重積分観測量に変換し速度を決定する。このための観測手段が時間相関イメージセンサによる複素正弦波変調撮像である。もう一つは空間荷重積分法で，空間微分を小領域での空間荷重積分観測量に変換する。このための観測手段は空間格子を重ねた光センサである（空間フィルタ法）。また，空間荷重積分法は受容野の特殊な感度分布が深く関係する生物の運動知覚機構のモデルともなり得る。本講演では，これらを対比させつつ，荷重積分法の方法論と可能性を多面的に明らかにすること，画像運動検出の多様な形式とその応用を具体的に示すことを目的とする。