Mn_(1.5-0.25x)CoNi_(0.5＋0.25x)O_4立方晶スピネル型酸化物焼結体の作製とその電気的特性

摘要

本研究は，Mn_（1.5-0.25x)CoNi_(0.5+0.25x)O_4（0≦X≦1）の組成試料を用いて，立方晶スピネル単一相焼結体の作製条件を調べるとともに，組成と電気的特性との関係について検討を行ったものである。 主な知見は以下にまとめる。 Mn_（1.5-0.25x)CoNi_(0.5+0.25x)O_4（0≦X≦1）の組成範囲の立方晶スピネル単一相焼結体は，アルゴン中，1400°Cで焼結させた後，800°Cに冷却し，雰囲気を空気に切り替えて，48時間酸化させることにより作製できた。 2. 導電率はいずれの組成においても温度の上昇にともない指数関数的に増加しており，サーミスタ固有の特性を示した。 3. 半導体特性は，X＝0.00～0.46の領域ではp型であり，x＝0.50～1.00ではn型であった。 これには，スピネル構造中の6配位位置を占めるMn~（3+）とMn~（4＋）の存在割合の大小関係が関与しているものと考えられた。 4. B定数は組成依存性を示し，Xの増加にともない減少した。 このことは移動度の活性化エネルギーの組成依存性とよい一致を示した。 5. 立方晶スピネル単一相焼結体の伝導機構は，いずれの組成においてもスモールポーラロンホッピング伝導であると結論された。