私の仕事流儀

摘要

私が専門として扱ってきたポルフィリン（図1) は，動物のヘモグロビン，ミオグロビン，チトク ローム，あるいは植物の葉緑素等に存在するピロ一ルの環状4量体である.またその類縁体で完全に人 ェの化合物であるフタロシアニンは，20世紀初頭 偶然に発見され，今世紀に入ると世界で毎年特許数 2千以上，生産量は50,000トン以上（日本では 15, 000トン前後）にものぼる機能性化合物の王様で ある.「挑戦者からのメッセージ」というコラムの執筆 依頼を受けた.自分の研究のみならず，理学と薬学 の博士号を取得しているという事で，その経緯ゃ領 域を超えた生命科学に関する考えを寄稿してほしい との事であった.たしかに生体に関係あるポルフィ リン類を研究対象としてきたが，基本的には理学部 的基礎的研究がほとhどで，定年した今から振り返 れば，研究の数分の一程度が医学，薬学に関係して いたにすぎない.