実践的合成研究を基盤としたィネ科植物の鉄イオン取り込み機構に関する研究

摘要

鉄は地球上のほとhどすべての生物の生命活動維 持に欠かせない元素であるが，酸素分圧の高い現在の地球環境では，鉄は主に水に難溶なFe~(3+)として存在している.このため，鉄は地殻中元素の約5%を占めるほど豊富に存在するものの，生物が利用で きる水溶性の鉄ィォンは地表上にわずかしか存在し ていない.植物は，このわずかな鉄イオンを吸収し て生育しているが,土壌溶液のpHが高いアル力リ 性条件下では，水酸化鉄(Fe(0H)_3， FeO(OH))の 溶解度が極めて低いため，植物は根から必要な鉄ィ オンを吸収できずに鉄欠乏症となる.このようなァ ル力リ性土壌は農耕に適さない不良土壌とされてお り，全世界の陸地のおよそ3割を占めている.