肺MAC症に対するフルォロキノロン系抗菌薬を含む新規レジュメの可能性

摘要

日本における非結核性抗酸菌(NTM)症は年々増加傾向にあり， 年間の新規患者は8， 000人以上 と推定されている.肺Myco-bacterium avium complex (MAC) 症 はNTMの主たる病型で，結核と は異なり，宿主の日和見感染によ り発病する.進行すれば慢性的な 咳や痰，発汗，食欲不振，貧血， 体重減少，倦怠感，発熱，血痰な どが出現する.MACはほとhどの抗結核薬に 感受性がなく，クラリスロマイシ ン（CAM)以外に有効な治療薬は ない.CAMは2008年に「MAC 症を含む非結核性抗酸菌症」に対 する適応が承認されており，肺 MAC症の治療にはCAMを中心 として，リファンピシン（RFP)と エタンブトール（EB)との多剤併 用療法が推奨されている.しか し，RFPとEBは2011年に同適 応が承認されたものの，単独では MACに対してほとhど効果がな い.これらは，CAM耐性菌の出 現を抑制する目的で併用されてお り（CAM単剤で6か月以上治療 した場合，耐性菌の発現頻度は 68%),本レジュメは確実な標 準治療法とは言い難い.さらに CAMの耐性菌を発現させてしま うと，治療に難渋することが多い のが現状である.