認知症患者への対応のポイン卜

摘要

ADに代表される変性性認知症では異常なタンパク質 の凝集による神経細胞死の結果，神経細胞の脱落，神経 原線維変化，神経伝達物質の異常，大脳皮質の萎縮が徐々 に脳全体に広がり，脳の機能障害が起こる。臨床症状は 経時的に変化していき，社会的あるいは日常生活上の不 具合が生じ，次第に身体機能が低下していく （図1)4)。 ADが重度まで至ると，神経伝達物質やシナプスの異常 が顎顔面口腔にも影響を及ぼし，その結果，口腔顔面失 行や知覚障害，反応性の低下，協調運動低下などにより 咀嚼ゃ嚥下運動が障害される。現時点では原因疾患その ものは治癒が困難であることから，認知症自体を治療 (キュア）することは難しく，表出される臨床症状への支援（ケア）が生活を支える主体となる。