特集にあたって

摘要

吸入療法は，気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患（chronic obstructive pulmonary disease ； COPD)患 者への薬物療法の根幹となっています。国内の気管支喘息患者は800万人以上と推定されておりますが， 吸入ステロイド薬の使用が普及するにつれて，喘息のコントロールは明らかに良くなり，死亡者数も 年々減少しております。最近では，気管支拡張薬との配合剤も頻用されています。一方，喫煙が主たる 原因のCOPD患者は全国で約530万人もいることが推定されており，今後，死亡原因として急速な増加 が予想されております。気管支拡張薬やステロイド薬の吸入は，COPD患者の症状やQOLの改善，運動 耐容能と身体活動性の向上および維持，増悪の予防などに有用です。本特集の前半は，気管支喘息や COPDの最新の知見について，第一人者の先生方にご執筆いただいております。