終末期

摘要

心不全は根治的治療が困難となる慢性，進行性かつ致 死性の悪性疾患といえる。そのため，多くは心不全発症 後も増悪と寛解を繰り返しながら進行し，経過中に突然 死を来すこともある。また，原因となる基礎疾患の重症 度や併存症による個人差が大きく，その経過の予測が極 めて困難であることも心不全の特徴である。ここでは，おおむね年間2回以上の心不全入院を繰り 返し，有効性が確立しているすべての薬物治療?非薬物 治療について治療ないしは治療が考慮されたにもかかわ らず，NYHA心機能分類III度より改善しないステージ Dにある終末期患者を対象とする。終末期心不全では 症状の軽減が主たる目標となる。そこで本稿では症例を 適宜振り返りながら，薬剤師の方々に必要な心不全の緩 和ケアのボイントについて概説する。