JICAインドネシア森林火災予防プロジェクトを終えて

摘要

2009年11月30日に，「森林地帯周辺住民イニシアチィブによる森林火災予防計画」（FFPP）が，3年間の事業期間を経て終了した。本報では，当該プロジェクトを含め，これまでにインドネシアにおいて行われてきた森林火災対策の概観と今後の展望について報告する。インドネシアは，ブラジル，コンゴ共和国に次ぐ世界第3位の熱帯雨林（世界の約10％）を持つ国である。森林率は，日本と同じ約7割であるが，国土は約5倍であることから，広大な森林を有する緑豊かな国といえる。また，地形や気候の違いから，海岸部のマングローブ林，ヌサトゥンガラのサバンナ林，イリアンジャヤの高山帯植生など多様な森林を有している。しかし，実際にスマトラやカリマンタンの森林を見てきた感想をいえば，データで得られる一般的なイメージと異なり，人口2億2千万人を擁する大国の国土利用の厳しい現実があるといえる。