非意図的に導入される外来森林生物の現状と課題 —タイワンタケクマバチおよび随伴侵入した タイワンタケクマバチコナダニの事例一

摘要

日本に侵入し深刻な被害を与えた森林性外来種と しては，マツノザィセンチユウが有名である。ほか に緑ィ匕樹や木材を含む樹木に生息し，病害虫となつ た外来生物の国内発見事例は枚挙にいとまがない。 しかし多くは，アメリカシロヒトリのように森林に まで侵入しないため軽微な緑化樹害虫と扱われた り，タイワン力ブトのように暧地の地域的な害虫と 見なされたりしているのが現状であり，ヨーロッパ や北米のように第一次産業に関わる省庁が総力を挙 げて外来種に対応しょうとする姿勢は，今のところ見えない。このような状況の下，IUCN (国際自然 保護連合）の委員会が作成した入種データベース でワースト100に選出され，U本でも侵入を警戒し ていたニレ立ち枯れ病菌が既に北海道に定着してい たことが明らかとなつた。本稿では最近闩本に導入 され定着したタイワンタケクマバチと共斗:ダニを例 に，森林性または樹木、木材生息性外来生物に対す る課題について議論したい。