電気自動車を省エネルギー化するための最適設計された固定減速機と無段変速機の比較

摘要

本論文は，電気自動車を省エネルギー化するために，動力伝達部の減速比を最適設計する方法を提案し，最適制御されたCVTとの比較検討をする．まず，電気自動車の構成要素である電力変換部，モータ，動力伝達部，車体のパラメータを用いて自動車全体の運動方程式を表わす．そして，各要素の電気的損失と機械的損失を全て取り上げて，散逸エネルギーの式を構成する．電気自動車の減速比を固定する場合，散逸エネルギーを最小にする最適変速比が，4次方程式を解くことによって簡易に設計できる方法を提案している．この式のパラメータの1つが固定減速機の動力伝達効率であるので，その効率が最小散逸エネルギーに与える影響を示している．一方，CVTが導入された電気自動車の散逸エネルギーを最小にする最適変速比関数を最適制御理論より求めている．この最小散逸エネルギーが，CVTの動力伝達効率によって変わることをシミュレーションで示している．最後に，最適設計された固定減速機と最適制御されたCVTの散逸エネルギーを比較して，固定減速機の省エネルギー効果が大きくなる動力伝達効率を示している．