カメラとプロジェクタを搭載した移動ロボットによる実空間視野共有型コラボレーションシステム

摘要

本論文では，離島の通信施設で実施した従来SCOPEの評価実験結果に基づき，現場側での設置·調整作業負担を軽減し，かつ可搬性を持たせるために移動ロボットにカメラとプロジェクタを搭載した移動ロボットCampro-Rを提案した．そして，ロボットの位置姿勢に依存しないで現場作業者と遠隔支援者の視野共有機能を実現するため，カメラとプロジェクタの光軸を一致させる技術を開発し，評価実験によりその光学設計が妥当であることを確認した．さらに，遠隔支援者側で対象物にポインティングしたカーソルの現場側での投影映像が，Campro-Rの位置姿勢変動に対して影響を受けないことを定量的に示した．現場ヒアリングに基づき，本論文では現場作業者の負担軽減の観点での課題解決が主であったが，ロボットの移動や現場作業者の視野誘導に伴うカメラ映像上の動きは，現場のカメラ映像のみで現場を把握する遠隔支援者側の視認性や操作性に影響が出ることも考えられる．また，Campro-Rの実用化に向けては，現場でメンテナンスに携わる方々からの評価も必要であり，今後の課題としたい．