運動知能－運動から迫る実世界に開かれた知能

摘要

有限個の記号と規則で構成された世界で働く知能を「閉じた知能」，それにとどまらない知能を「開かれた知能」とするならば，実世界において実時間で行動するロボットの知能はすべからく開かれた知能である．状況がダイナミックに変化する中でも決して破綻せず合目的的に振る舞う人工システムの実現こそが，ロボティクスの主問題と言ってよい．決して新しい話ではない．このことは，ロボティクスの源流であるサイバネティクス[1]においてすでに重要な課題であった．半世紀経った今もなおこれが課題であり続けている理由の一つは，「遅れのない相互作用」の扱いの難しさにある．