起業に適した技術とは

摘要

大学の技術には、ライセンシングに適した技術と大学発ベンチャーに適した技術の2つの種類があり、それぞれの技術の特徴が何であるかを明らかにして大学の技術移転の指針にしようという研究が行われている。 それによれば、特殊で商業化に多大の経営資源を要する技術はライセンシングに適しており、基盤的で商業化に多大の経営資源を要しない技術は大学発ベンチャーに適しているといわれている。 技術の特殊、基盤的の区別は別の議論が必要となるので、ここではその区別を厳密にしない技術一般と経営資源の要、不要の問題、特に最大の経営資源問題である市場開発力の問題を扱うことにする。 また技術と市場の問題に関しては、最近しばしば破壊的イノベーションが話題になる。 そこでは破壊的イノベーションのうち特に新市場型破壊的イノベーションが新規企業に有利とされている。 このような状況を踏まえて、大学の技術にこだわらず一般的に、ベンチャービジネスなど新親起業に適した技術とはどのような種類の技術なのかを検討してみた。