高速加熱流下抽出装置の開発とダイオキシン類抽出への応用

摘要

近年，ダイオキシン類などに代表される高沸点有機汚染物質による環境汚染が問題となってきており，汚染土壌や廃棄物の汚染範囲の明確化や処理の必要性の判断，河川等の汚染実態の把握や発生源調査，汚染物質の発生施設または排出抑制設備の日常的な運転管理等のために，より多くの試料について迅速な測定を行うことが必要となってきている。 例えばダイオキシン類の測定においては，まず試料からの抽出操作が必要となるが，固体試料の場合，公定法では風乾を行った後，ソックスレー法による抽出を行うことが定められている。 しかしながら，試料の風乾には酸処理後の飛灰試料などで一昼夜以上，土壌や底質試料では数日から2週間程度を要し，ソックスレー抽出には一昼夜という長時間を要することから，試料の乾燥·抽出時間を短縮した，従来法に替わる効率的な抽出方法が望まれている。