SELF 第127回全蒸発残留物 分析値自己管理会配布試料について分析値自己管理·診断·評価のために

摘要

SELFとして，全蒸発残留物を取り上げるのは，平成11年第60回，平成17年第83回に続き，3回目となり，前回から約10年ぶりとなります。全蒸発残留物の試験方法は重量分析であり，SELFで重量分析を対象にした項目はSSと全蒸発残留物のみです。全蒸発残留物は，水中に浮遊したり溶解したりしている成分で蒸発乾固したときに残る成分です。洛存ガスや水より沸点の低い物質は除かれます。溶解している成分の総量を知る目的で浮遊物質（SS）を除いたものを溶解性蒸発残留物として区別する場合があります。今回の試料や水道水ではほとhどSS成分が含まれていないため，全蒸発残留物と溶解性蒸発残留物は同じ値となります。蒸発残留物は純粋な水ほど低く，溶解する成分が多いほど高い値を示すもので，水の性状を表すうえで最も基本的な項目の一つです。わが国の河川水の蒸発残留物は通常200mg／L程度以下，地下水でも500mg／L程度までといわれています。水道水の蒸発残留物の主な成分は，カルシウム，マグネシウム，シリカ，ナトリウム，カリウムなどの塩類や有機物です。