新規開発したパッシブサンプラーによる室内空気中の新規指針値候補VOCsの測定方法

摘要

本研究ではパッシブ法の新規指針値候補VOCsおよびTVOC測定への適用を目的とし，パッシブサンプラーを開発したので報告する。パッシブサンプラーは吸着剤とそれを覆う通気性の拡散帯から構成されている。吸着剤はその細孔構造によって吸着特性が決まり，分析対象物質の吸脱着効率が十分なものを選択する必要がある。パッシブサンプラーへの物質の取り込み速度であるサンプリングレート（SR）は，拡散帯と吸着剤との間を拡散する距離および拡散帯の部材と空隙の割合などのサンプラー形状によって決まるほか，測定対象物質の拡散速度によって決まることが知られている。新規指針値候補VOCsなどの高沸点VOCsは分子拡散が遅ぐトルエンなどの一般的なVOCsと比べSRが低い。そのためSRの高いサンプラー形状を選び，検出感度が十分であるかを評価する必要がある。本研究では開発したパッシブサンプラーの新規指針値候補VOCsの吸脱着効率およびSRを求め,空気測定への適用について検討した。また本サンプラーを用いた溶媒抽出-パッシブ法のTVOC測定への適用についても検討した。