新しい生体機能材科を目指した高分子ゲルの設計とそのマイクロ加工

摘要

1960年代にソフトコンタクトレンズが開発されたことに見られるように，高分子ゲルの応用研究は古くから行われてきた．特に1970年代に米国で自重の約千倍もの水を吸収するポリマーが発表されて以来，高吸水性ポリマーとして生理用品や紙おむつなどを中心に種々の分野（衛生·生活日用品，食品·包装，医療，農業·園芸，土木·建築，化学·電子工業，スポーツ·レジャー産業など）で高分子ゲルの応用展開がなされてきている．1980年代後半から1990年代以降は，溶媒組成，温度，pH変化などの外部環境変化に対して，高分子ゲルが可逆的かつ不連続にその体積を変化させる現象（体積相転移現象）がMITの田中により発見されたことを契機に，機能性材料としてより進化させたものの開発，とりわけ，センサー·プロセッサー·アクチュエータといった連携機能（インテリジェント機能）を材料自身が併せ有する「インテリジェント（あるいはスマート）ゲル」と呼ばれる，より高度な機能性材料の開発研究が盛hに進められている．