東北タイにおける水田畦畔林の形成とイネの生育および収量への影響

摘要

東北タイの天水田地帯には，産米林と呼ばれる水田内や畦に多数の樹木が点在する景観が広 がっている.しかし社会経済環境の近代化による稲作の変化に伴い，従来からある樹木が減少 する一方，商品作物として新しい樹木を畦畔に植栽する事例が増加している.最もよく見られるのはュ一カリであるが，このほかに，マンゴー，フタバガキ科樹木などが見られる.後者は 自家建材用とされ，苗木は市内の園芸店からの購入もなされる.畦畔に植栽された樹木のイネへの影響を明らかにするため，東北タイ中央部にある天水田農 村のドンデーン村において，田面や畦に孤立的に従来から存在する樹木としてィンドセンダン， 畦畔に比較的近年列状に同一の樹種が植栽された樹木としてマンゴー及びユー力リを対象とし,2011から2013年にかけて調査を行った.