タンザニアの山地農村の屋敷地の商品作物の作付けにみられる小農の生計維持戦略一ウルダル山塊東側斜面キボグヮ村の事例一

摘要

【緒言】調查地キボグヮ（第1図）の土地利用形態は、屋敷地とその外側に拡がる主食用作物の栽 培の場である畑地とで構成される。畑地でおこなわれているトウモロコシとイネの耕作の生産性は極めて低く、これら2種の禾榖類の収穫量をあわせても自家消費量に達していない農家が多い中、屋 敷地で栽培される商品作物は、現金を介した食糧の確保のために何らかの役割を果たしているの でないかと考えられた。本研究では、調査地のホームガーデンにみられる作物の中で商品作物の作 付けに着目し、それぞれの商品作物が農民が畑地との関連で彼らの生計を維持するためにどのよう な役割を果たしているのカゝ、また、多様に見える屋敷地の商品作物の作付けは彼らの生計維持戦 略という文脈の中でどのような意味を持っているのかについて、商品作物の作付けの中に見られる 具体的な現象に着目しながら考察を加えていった。【調査方法】村の43世帯を対象（第2図）に 2005年7-9月に屋敷地に作付けされていた作物の種類や各作物の占有面積を明らかにするため の調査の際に、世帯の代表者にその年販売した商品作物の種類を聞いた。また、同年の12月に、 先の43世帯の中から23世帯を選定し、作物の販売に関して同様の聞き取りを再度行った。