ブドウ新品種'シャインマスカツ卜'の育成と普及

摘要

ブドウ'シャインマスカット'は，2006年に農林水産省 に品種登録された，農研機構（農業、食品産業技術総合研 究機構）育成の新品種である（山田ら，2008).農研機構 は，2001年に農林水産省の多くの農業関係試験研究機関 が独立行政法人として統合された組織であり，農林水産省 機関時代からの研究開発を引きついで実施している.その 後さらに関係組織の整理統合が進み，現在は国立研究開発 法人農研機構となっている.'シャインマスカット'は 2007年に苗木販売が開始されて以降，急速に普及し（第1 図），2014年には683ha,日本で栽培されるブドウ品種の 中で第4位となった（第2図；農林水産省，2017).日本 農業新聞は，スーパーマーケット，果実専門店，卸売会 社，生協などを対象に果物売れ筋トレンドを調査した結果 を毎年掲載しているが，'シャインマスカット'は様々な 果物を含む約200アイテム中の売れ筋期待値が2011年か ら2016年まで6年連続1位で，他を引き離して期待値が 高いとされた（日本農業新聞，2016).'シャインマスカツ ト'は栽培が比較的容易で，強い需要があることから，今 後も栽培面積は大きく拡大していくと見込まれる.