種間交雑によって得られたビヮがhしゅ病（Aグループ菌）抵抗性遺伝子座に 連鎖するSSRマーカーのビヮ育種における有用性

摘要

ビヮがhしゅ病はビヮ栽培における重要病害のひとつで あり，培地上での褐色色素と葉肉に対する退緑病斑形成の有無によりhBおよびCの3グループ菌に分類されて いる.本研究では，ビヮ交雑実生集団においてAグルー プ菌抵抗性個体のMAS法による選抜手法を確立すること を目的に，新たにSSRマーカーを設計し，タイワンビヮ（￡. deflexa)に由来するAグループ菌抵抗性遺伝子座（fte-a) 近傍連鎖地図の高密度化を図った.解析の結果，Ae-a遺 伝子座を含む9.0cMの領域に9つのSSRマーカーが座乗 する高密度連鎖地図が作成された.次に，抵抗性個体の選 抜に利用可能なマーカーを選定するために，国内外ビヮ 57品種（日本：43品種，海外：13品種，不明：1品種） のAグループ菌抵抗性に対する表現型とfte-a遺伝子座近 傍に座乗する9つのSSRマーカーにおける対立遺伝子型 の対応関係について検討を行った.その結果，それぞれの マーカーについて，抵抗性遺伝子に特異的に連鎖するパン ドが確認され，適合率および判別のしゃすさから， SSR0254およびSSR0858の2つのSSRマーカ一を抵抗性 個体を選抜する際に特に有用なマーカーとして選定した. これら2つのマーカーについて，それぞれ2組合せの交雑 実生集団を用いて組換え価を算出した結果，SSR0254マー 力一では2.3%および12.6%， SSR0858マーカーでは4.6% および10.3%であった.また，これら2つのマーカ一によつ て抵抗性と判定された個体は，いずれのマーカーおよび組 合せにおいても概ね90%以上の確率で接種検定による表 現型判定の結果と一致していた.以上のことから， SSR0254マーカーおよびSSR0858マーカーはMAS法によ るビヮ育種において，Aグループ菌抵抗性個体を高い確率 で選抜することができると考えられた.