FPGA による流体専用並列計算機の実効メモリ帯域と計算性能評価

摘要

本研究ではビルディングキューブ法（BCM）に基づく高性能な並列流体計算の実現に向け、FPGA を用いた専用計算機の開発を行っている．BCM では、計算領域を大小様々なキューブと呼ばれる直交格子に分割し、キューブを単位として並列に計算を行う．本手法は同解像度のキューブのために負荷分散に優れているものの、隣接したキューブ間において行われるデータ交換が並列処理効率低下の主要因となる．特に、交換データの読み書きは不等間隔のメモリ参照として行われるため、メモリ実効帯域の低下が性能に大きな影響を及ぼす可能性がある．本稿では、不等間隔のメモリ参照が可能なマルチストライド DMA モジュールを設計し、単一の FPGA を用いて、キューブ計算とデータ交換が可能な BCM 専用ハードウェアを試作実装する．データ交換におけるメモリ参照時間を計測すると共に、計算とデータ交換の両方を行う BCM 専用ハードウェアの総合性能見積を行う．