ミ卜コンドリァ内リン脂質輸送と代謝

摘要

リン脂質ホスファチジルエタノールアミン（PE)とカルジ オリピン（CL)のミトコンドリアにおける合成には，それ ぞれの前駆体であるホスファチジルセリン（PS),ホスファ チジン酸（PA)のミ卜コンドリア内膜への供給が必要で ある。出芽酵母において，ミトコンドリア膜間腔に局在す るUps1-Mdm35複合体は，PA輸送体として機能し，CL 合成に重要な役割を担っている。一方，筆者らは，Ups2-Mdm35複合体がPS輸送体として機能し，非発酵条件下 においてミ卜コンドリアPEの合成を促進することを見出し た。さらに，ミトコンドリア内膜タンパク質であるFmp30, Mdm31,Mdm32が，Ups1非依存的な新規CL合成経 路に関与していることを明らかにした。本稿では，これら の因子を介したミトコンドリア内リン脂質の輸送?合成制 御機構について，筆者らの最近の知見を紹介する。