可変パッシブリピータを用いた電波伝搬環境改善に関する検討

摘要

MIMO（Multiple Input Multiple Output）システムにおいて，キーホール効果によって低下するチャネル容量を，可変パッシブリピータの利用によって改善可能である．本報告では，パッチアンテナで構成された可変パッシブリピータを完全に遮蔽された部屋の壁に中継器として設置し，可変パッシブリピータによる電波伝搬環境改善効果を実験で評価した結果について述べる．パッシブリピータを構成するパヅチアンテナの装荷インピーダンスとして，Varactor diodeを使用し電圧制御を行うことによって，通過する電波の位相成分を可変とする．パッチアンテナを独立に制御し，最適な位相値の組合せを実現することによって，チャネル容量の最大化を目指す．MIMOチャネルの測定結果より，チャネル容量の10％値を，2.92 bits／s／Hz改善することを示し，屋内環境の伝搬特性改善にパッシブリピータが有効であることを明らかにする．