漁船機関の燃料消費量と整備諸元値の関係評価

摘要

近年，漁船用燃料価格は高騰を続け，漁家経営を圧迫 している。特に，ここ数年の価格上昇は著しく，約3倍 まで高騰した"。これに対応するため，各種の省エネル ギ一対策，具体的には減速運航，船体抵抗の低減，積荷 物の減量化，新技術の導入，機関の適切な運用および保守整備など力S提案され，実施されている。 機関関係では，機関の適切な運用および保守整備があ り，前者は暖機の有無や急激な負荷変動と燃料消費量と の関係が報告されている。後者の機関の保守整備は， 開放整備と運転整備に区分される。開放整備では法令定 期検査以外に，部品使用の可否を判断する重要な作業と 位置付けられている。シリンダライナやクランク軸など の重要部材については，経時変化と燃料消費量との関係 が報告されている。しかし，運転整備では，機関製 造会社から奨励された運転諸元を維持する重要な作業で あるが，それらの整備項目である各種調整値の経時変化 と燃料消費量との関係は明かにされていない。特に，燃 料価格が高騰している現在，運転整備が省エネルギ一対 策としても有効であるかのような報告6)もあり，両者の 関係を明らかにする必要がある。