魚礁機能の定量化と魚礁性

摘要

北海道におけるコンクリート製人工魚礁ブロックによる本格的な魚礁設置事業は，1955年（昭和30年）から実 施された。人工魚礁に関する体系的な効果調査も魚礁 設置事業の一環として，魚礁設置適地調査とともに魚礁 効果確認調査として実施されている。以来，北海道に おける調査は体系的かつ継続的に1988年度まで実施され た。調査の目的は，事業として実施される魚礁に，どh な魚が，どの様に，どの範囲に，どの程度，螬集し，そ の要因は何かを定量的に示すことであるが，その具体的 手法は現在に至まで確立されていない。 著者らは，北海道が実施した過去の漁獲試験を中心とする調査資料により，魚種の魚礁性，魚礁形状による蜩 集の変化，魚礁からの距離と魚種分布，魚礁への螬集量 推定，魚礁の規模と螬集量を対象として，その機能の定 量化を進めてきた。本稿では，定量化全体の基本的項目 となる魚礁性，魚礁からの距離と魚種分布に関する数量 化の手法を紹介する。また，数量化による結果を評価し， これから推定される魚礁性の本質について考察を示す。 なお，本稿は当誌で発表した，魚類分布の定量表現による魚礁の効果範囲の定量化とその考察と，平成20年 度水産工学論文賞の対象となつた北海道における漁獲試 験結果に基づく 魚礁性の定量化とその考察について， その後の改良や開連の発表を含め総合的な考察により 紹介するものである。