周産期疾病多発牛群に対する乾乳期の飼養管理改善指導の効果

摘要

周産期病は，乳牛における多発疾病であり発症 すると生産性が低下するだけでなく.死廃事故に つながることも多いため，農家毎の問題に対応し た適切な予防対策の確立が重要である.管内の乳牛の飼養頭数が37頭の酪農家において，平成29 年10-12月の2力月間で往診依頼があつた7頭 のうち6頭が周産期疾病を発症し治療を試みるも 4頭が死亡した.平成29年11月に代謝プロファ ィルテスト（MPT)を行った.MPTの結果，分 娩前よりNEFA, AST, GGTの値の上昇がみら れた.また，泌乳初期にT-cholが低値を示す牛 も見られた.よって，乾乳期管理法を確認したと ころ，乾乳期間30日，飼料給与法は3番草と乾 乳用配合飼料一律4 kg/日の給与であつた.そ のため，乾乳期間の飼養管理に問題があると考え られた.近年，乾乳期間の短縮が研究されている が，短縮適用外の条件も同時に報告されている. 対象農家では泌乳後期のBCSが低く ，泌乳後期 の乳量が少ないことから乾乳期間の短縮は適用外 と考えられた.そこで，乾乳期間の延長と飼料給 与方法の変更を主とした乾乳期の飼養管理改善指 導を行い，その効果を検討した.