三拍子そろった観光漁業

摘要

地域性が強く、そう簡単にまねはできないけれど、圧倒的な魅力を持つ観光漁業、その代表がスダテ漁ではないだろうか。スダテは、マッシュル—の断面のような形に、干潟に"簀(す)をたて"る仕掛けが、名の由来。干満の差を利用した定置網で、高さ2 m、直径ほどのスダテの中に満潮時に入つた魚を、潮が引いてから捕まえる。沿岸に遠浅の海が広がっていた時代には、類似の漁法が日本各地にあつたようだ。東京湾アクアラインが片足をおろす木更津市金田地区は、湾奥から距離があり沿岸開発が遅れたが、自然の河口干潟が東京湾で唯一残るなど、現在では逆に自然の生産力の高さで注目されている。ノリ養殖、アサリなど貝類の漁が盛hだ。スダテ漁ができるのは3月末から8月いつばい、しかも大潮の前後のみだ。ノリ養殖漁場を使う夏の"裏作"が観光向けになったのは50年ほど前。許可枠は12カ統だが、現在3経営体が3カ統ずつ、プラス1経営体の計10カ統がある。東京からわずか40分の近さと圧倒的な面白さでマスコミにもちょくちょく取り上げられ、土日や夏休みは前年から予約で埋まる盛況ぶりだ。