ホウレンソゥにおける適正な施肥法の確立に向けた新しい土壌肥沃度の評価法の確立

摘要

ホゥレンソゥは岩手県の葉菜類を代表する品目の1つである。1980年から労働生産性、 市場性が高く夏期冷涼な気象を活かせる作目 として急速に生産を伸ばした。岩手県のホウレンソゥ栽培の特徴は、地域 資源の1つである堆肥を利用した栽培であ る。堆肥施用により、土壌環境、すなわち、 土壌の化学性、物理性、生物性を改善する土 づくりの効果があり、岩手県は安定生産技術 の一つとして励行してきた。その一方で、生 産者も熱心に土づくりに取組み、毎年、ハウ ス土壌に有機物を大量施用したことにより、 塩類集積、可給態窒素の増加などが認められ ていた。ホウレンソゥへの施肥が地下への養 分溶脱量に及ぼす影響について2003年の岩手県の調査報告は、慣行栽培を行った場合、毎年、窒素で26kg/10a、リン酸で39kg/10a、 力リで16kg/10aが土壌中に蓄積することに なり、施用量を減らす必要があると指摘した。 しかし、当時の施肥基準は、堆肥から供給さ れる養分量と、土壌の窒素肥沃度に対応した 施肥技術についても十分に検討されていない ため、適正な施肥基準として確立されていな かった。