5歳時以降に観血的整復を行った究育性股関節形成不全の2例

摘要

多くの発育性股関節形成不全(Developmental Dysplasia of the Hip ：以下，DDH)は， 早期発見，早期治療で良好な結果が得られるが，1歳時未治療例や早期治療を開始しても初期治療 に難航する例では，観血的整復術を要する.これらの例に対し，5歳時以降に観血的整復術を施行 したため報告する.症例1:5歳5か月女児.跛行を主訴に近医を受診し左DDHの診断で紹介され た.5歳11か月で観血的整復術とSalter骨盤骨切り術を合併して行った.症例2:4か月女児.4 か月健診で開排制限を指摘され受診した.左DDHの診断でRiemenMgel(Rb)を装着した.6か月 時に再脱臼位となり，機能的牽引療法後に徒手整復ギプス固定を行った.徐々に求心性が悪化し， 減捻内反骨切り術とSalter骨盤骨切り術を追加した.適合性が改善せず6歳4か月時に観血的整復 術を施行した.DDHは健診で指摘されず，歩容異常で初めて診断される例がみられる.また，初 期治療に難航した例では，保存療法にこだわらず適切な時期の観血的整復術も選択すべきである.