骨髄における造血を制御するケモカインCXCL12と細胞性ニッチ

摘要

骨髄での造血における機能的組織構築と血球の細胞動態およびその制御機構は明らかでなかった．最近，胎仔期に造血幹細胞が末梢血から骨髄にホーミングする過程に血管内皮近傍のケモカインCXCL12（SDF-1/PBSF）が必須の役割を果たすこと,さらに成体骨髄においてCXCL12発現細胞，IL-7発現細胞は別の細胞で,それぞれBリンパ球造血のニッチ（特定の機能を有する微小環境）であり，前駆細胞はニッチ間を分化段階特異的に移動することが示された．CXCL12発現細胞は，骨髄で造血幹細胞や多能性前駆細胞のニッチとしても働いている可能性もあり，CXCL12はニッチと血球との相互作用を制御していると考えられる．