Ral研究の新たな展開

摘要

RalはRasサブファミリーに属するsmall G夕ンパク質である． Ralの細胞生物学的機能は長らく未知であったが，Ralに特異的な調節因子やエフエク夕?が次々と同定されるに至り，今日ではRalが，膜輸送，転写，翻訳，細胞の遊走，増殖，生存など．多岐にわたる細胞機能を担うことが知られている．また，近年の多くの知見は，Ralの異常な活性化がヒト細胞のFA化に大きな役割を持つことを示唆しており，癌との関連においてRalの研究は新たな展開を見せている．本稿では，最近初めて明らかにされたRalの GTPase活性化夕ンパク質（RalGAP)の同定を含め，Ralに関する研究の進歩について概説する．