拡大するRNAエディティング酵素APOBECの世界

摘要

哺乳類において初めて見つかったRNAエディティングはアポリポタンパク質Bにおけるシチジンからウリジンへの変換であり，APOBEC1と呼ばれる脱アミノ化酵素により行われる．APOBEC1をトランスジェニックマウスで過剰発現させると，アポリポタンパク質B以外のRNAも異常なエディティングを受け，癌化が誘発される．最近APOBEC1の相同遺伝子が多数同定されており，その1つAIDは抗体遺伝子の多様性をもたらす原動力である．AIDや他のAPOBECファミリーがAPOBEC1と同様にRNAエディターであるか，それともDNAミューテーターであるかに関して，世界中で大論争が巻き起こっている．