空間モデル

摘要

MauryやTownsendがアメリ力式捕鯨の航海 日誌をもとに作成した大型鯨類の捕獲位置饲など にみられるように，海棲哺乳類の空間分布に関す る研究は古くから行われてきた（近年になりこれら はデジタル化されている31)。その後，漁場形成の 解明という観点での研究が行われるようになり， 例えばUdaは商業捕鯨捕獲位置を水温図に爪ね 合わせ（オーバーレイ），空問分布とそれを決める 琛境要に関する研究を展開した。鯨類では商業 捕鯨の?時停止（モラトリアム）が国際捕鯨委員会 (IWC)で採択された1982年以降は，視調查で得 られたデータを活用した研究が中心となったが， しばらくは目覘発見位置と餌物分布図のオー バーレイ,あるいは分布要因を解明するための 目視発見位置と環境要因（水温など）の相関とった比較的単純な解析手法が主流であった。な ぜならば調査デ一タの処理に多大の時間を要した り，環境データの入が難しいなど，解析の制 限があったためである。しかしながら，パーソナ ルコンピュータの高性能化，衛星による地球環境観測の整備とインターネットを通じたデ一 タ配f,にさらには地理情報システム（GIS)や数理統 計T-法の開発などが著しく進展した結果，2000年 代以降，これらを統合的にいた対象生物の空間 的な出現確^^や個体数推定に関する研究が精ガ的 に行われるようになった。今日，日本周辺でも鯨 類を対象とした研究が展開されている卜し，鳍脚 類は洋.での視による発見が難しいため洋上分 布は不明な点が多かったが，衛星標識のようなバ イオテレメトリなどによって生息域のデータが得 られるようになり，ケ日ではこれを活用した研究 が広く行われている。