マイクロマシンとバイオの融合によるナノシステム

摘要

マイクロマシン（MEMS：micro electromecha－nicalsystemsとも呼ばれる．）技術の要点は，携帯電話やノートパソコンの小型軽量化をもたらした半導体微細加工技術を援用して，微細な立体構造を作ることであるト吊．最新のシリコンチップではトランジスタの寸法が100nmに近づいており，研究レベルでは10nm級のものも発表されている．この微細加工技術を用いてミクロやナノの立体構造や機械システムを作製できる．近年，マイクロマシンの加工技術や，マイクロアクチュエータの設計製作技術は急速な発展を遂げ，製品化されたものも含め，応用を特定してそこで要求される仕様（性能とコスト）を満足するマイクロマシンが次々と開発されるようになった．マイクロマシンやその加工技術を利用した商品には例えば，自動車のエアバッグ始動用の加速度センサ，ナビゲーション用のジャイロスコープ，インクジェットプリンタ，多数のマイクロミラーからの反射で画像を映す投影型ディスプレイ，などさまざまな製品があり，われわれの身の回りで広く使われている．　本稿では，マイクロマシンとバイオナノテクノロジーを融合したナノシステムについて，その概念を説明した後，生体分子をマイクロマシンに取り込hでその機械的機能を利用するナノシステムの萌芽的研究について述べる．