高分子超薄膜をテンプレートとしたナノ粒子集積

摘要

ナノ材料作製技術の進歩はめざましく，金 属や酸化物等の無機材料から有機材料まであ らゆる材料のナノメ'一 トルスケ一ルでの構造 制御が可能となっている.従来Langmuir-Blodgett(LB)法や交互吸着（LbL)法のような ボトムアップ的アプローチのビルディングブ ロックとして従来低分子や高分子といった有 機分子が使用されていたが，さまざまなナノ 材料がビルディングブロックの対象となりう る状況である.しかしながら，これはナノ材 料の有機分子による表面修飾，すなわち無機 と有機の融合によるところが大きい.すなわ ち集積に必要な相互作用の調節を表面修飾で 用いられる有機分子に託すという考え方であ る.ナノ粒子の集積に必要な相互作用に着目 すると，静電相互作用や水素結合，van der Waals相互作用，電荷移動錯体相互作用，配 位結合などさまざまな相互作用にもとづく集 積が報告されているがこれらの相互作用 の中でも静電相互作用は，反発力と引力の両 者が可能であり 静電相互作用を駆動力と したナノ材料の集積が最も多いといっても過 言ではない.私達もこれまで高分子材料をテ ンプレートとしたナノ粒子の精密集積につい て研究を行っており，負に帯電した金属ナノ 粒子やCdSeナノ粒子と正に帯電する高分子 Langmuir-Blodgett(LB)膜（高分子ナ ノ シー ト）の吸着を報告している.いずれにしても， 静電相互作用を利用したナノ粒子集積ではナ ノ粒子が比較的均一に分散するとされている. しかしながら，場合によっては高密度かつ均 一にという要件が求められる.そのような場 合には，静電相互作用だけではなく，水素結 合や配位結合，van der Waals相互作用のよう な弱い相互作用を利用した集積が有効と考え られる.本稿ではボトムアップ的手法による ナノ粒子精密集積に関する著者らの最近の研 究結果を中心として紹介する.