簡易型汚水処理を可能にするプラズマ?パブリング装置の開発

摘要

震災による上下水道の寸断時に家庭や公共施設から出る汚水の処理は急務であり，未処理のまま河川に流すと悪臭や水質低下などの環境汚染を引き起こす.同時に，河川から生活用水を採取する場合には殺菌，脱臭等の処理を施す必要が生じる.また，緊急時の簡易的な水処理に加えて，病原性大腸菌O-157 等の細菌やウイルスによる井戸水や水耕液（循環培養液）の汚染による食中毒の防止のために簡便な水処理設備も望まれる.通常，上下水の殺菌，脱臭，脱色には次亜塩素酸等の薬剤，紫外線(UV)，オゾンによる処理が行なわれている.しかし，塩素系薬剤の使用はカルキ臭や，水中の有機物との反応で発がh性物質のトリハロメタンが発生するなどの問題点がある.一方，オゾンは酸化力が強くしかも過剰分のオゾンは最終的には酸素分子となり無害化されるので環境調和型の処理法と言われているが，高濃度のオゾンは人体に危険で労働安全基準は1日8時間労働で0.1 ppmと定められている.また，オゾン単独では分解が困難な難分解性有機化合物に対しては，オゾンとUVを組み合わせることで酸化力の極めて高いヒドロキシルラジカルOH を生成させる促進酸化処理(AOP)も行なわれている~(1)).このOHラジカルの寿命は溶液中で数十nsといわれており残留による人体等への危険性は無い.このように反応性が高く，しかも残留性が無い活性種による汚水処理が望まれる.