温度応答性ポリマーのAuリサイクルへの適応性

摘要

1.はじめに資源の乏しいわが国においては,国際情勢 による価格の変動や輸入停止等のリスクに備 えるためにも貴重な資源のリサイクルが緊急 の課題となっている.家電リサイクル法が施 行されてからテレビ等の4品目では法的な回 収がなされるようになり,解体により金属や プラスチック等に分別して再利用されており, その中で有価金属の含まれる廃電子基板等の リサイクルにおいては,従来の銅精錬等の精 錬過程にそのまま基板を投入しての金属回収 が主であるが投入比率の関係から一度に投入 できる量に制約がある.この問題を解決する には,投入比率に制約のない新型の炉を建設 する等の大規模な投資が必要となる.また, 今年の4月からは法的拘束力はないが自主性 による小型家電リサイクル制度が施行され, 自治体等の小さい規模でのリサイクルも行わ れるようになってきた.物質?材料研究機構 とつくば市とでは,平成23年2月に『小型 家電製品の回収と金属再生に関する協力等協 定』を締結しており,特に携帯電話の回収で は機構による技術提供により有価金属が含ま れる基板とプラスチック部品との選別を行い, リサイクル業者への引き渡しにおいての無選 別と比べて付加価値をつけている.また,そ の際に振動モーターの錘に用いられているレアメタルであるWの取り外し技術を提供し ておりW単独元素の回収も行っている1). しかし,廃基板に含まれる元素で特に付加価 値の高い元素はAuであり,基板の価値のほ とhどを占めているが,大規模設備が必要と なるために自治体等での直接のAuの回収は 行われていない.しかし,小規模な設備での Auの回収が可能となれば更なる付加価値が 付けられるものと考えられる.また,Auの 採掘においてもアマゾンで問題となった安易 な水銀を用いる方法が主であるが世界的に環 境問題から水銀規制が行われており,新たな 方法開発は環境汚染防止にも有効となる.