近時の数学観の動向に応える数学教師の資質と責務

摘要

本論考は数学教育に直接関わる近時の数学観の動向を,ビショップ,A.の「数学的文化化」と,この原著発行の1988年以降に提示されたドシー. J.による数学観の分析論,及びアーネスト,P .の社会的構成主義をとり上げ,それらを拠り所として我が国におけるこれら観念の受容の動向と,これらの数学観.数学の哲学が教師に求める資質や責務を検討した. 今日の算数?数学授業に求められる自力解決や創造的活動,対話やコミュニケーション活動が.上記の数学論,数学の哲学と整合的であることを改めて示した.また,類似性モデルを用いた創発によって,ここで示した数学観,数学の哲学に基づけば,算数?数学教師は学校の本務の遂行の上に,学会等を通じた後継者養成は勿論,一般社会における数学普及活動の責務を担うこと,この活動を通じて教師は本務に関わる得がたぃ経験や知識を獲得するとの知見を得た.