基準量を意識させる第1学年「大きさくらベ」の指導*-「割合的な見方」を養うことを目指して-

摘要

高学年で学習する割合は,長きに渡り算数教育の課題の1っとされてきた.この現状は，高学年だけで割合を指導したとしても，児童の理解が深まらないことを意味しており，低学年から「割合的な見方」を育てることが必要だと考えた.割合を理解するためには，基準量と比較量の関係を表した数値（いくっ分や倍）を求められることが必要となる.さらに，その前提として基準量が何かを把握する力が不可欠である.現行の検定済教科書を調ベてみると，第1学年において，基準量や比較量,基準量と比較量の関係に関する指導があまり積極的になされていないと考えられる.本研究の目的は,第1学年の「大きさくらベ」の単元において，基準量を揃えなければ測定した数値を比ベることができないことや，基準量にょって比較量との関係を表す数値が異なることを学習することなど，第1学年の児童に基準量に対する意識を高める指導の可能性を探ることである.授業記録から，基準量を揃えなければ,基準量と比較量の関係を表した数値にょる比較ができないことを児童は直観的に理解していることや，最適な基準量を選択する過程で，基準量と比較量の関係を多様に表現する児童の姿が見られることがわかった.